8章 非和声音
非和声音......和音構成音以外の音
どんな非和声音も2度の順次進行で和音構成音に解決できる。
非和声音の分類
経過音
全音階的または半音階的に、旋律の跳躍を埋める音。
複数の声部で同時に経過音を使う場合、和音全体が動いているように聴こえる場合がある。
2音間をつなぐ音なので、リズム的に弱い位置にある場合がほとんど。
隣音
1つの静止音を飾る。飾られる音から2度で到達し、また元の音に戻る。
全音階的な音とは限らず、旋律を滑らかにするため半音階的に変位することがある。
複隣音......上部隣音と下部隣音を連続して使い、1つの音が2つの隣音によって飾られる形。
隣和音......2つか3つの隣音が同時に並行で現れる時に形成される和音。
不完全隣音......最初か最後の原音が省略された形。
リズム的に弱い。
先取音
表拍にある音に先行して修飾する音。
普通は飾られる音より短いが、長さが等しいこともある。
リズム的に弱い。
倚音(いおん)
表拍である音に先行する。
倚音を裏拍で修飾する予備をつけることができる。
非和声音の中で唯一リズム的に強い位置に現れる。
4声書法に於いては、他の声部と解決音の重複を避けるのが普通である。
倚和音......複数の倚音が同時に鳴る時に形成される和音。
掛留音
裏拍に生じ、表拍の静止音とタイで結ばれる。
アンティシペーションの類似概念です。
掛留和音......複数の掛留音が同時に鳴る時に形成される和音。
逸音・転過音
2度順次進行する2音を修飾する音。
逸音......最初の音から最後の音の方向と逆に進み、最後の音に跳躍する。
転過音......最初の音から最後の音の方向へ跳躍し、逆方向に戻って最後の音に順次進行する。
連続する非和声音
装飾的解決......逸音・転過音のように、解決音ではない音を挿入することで解決を遅らせること。
保続音
1声部で保留される主音Ⅰもしくは属音Ⅴ。
非和声音の中で唯一旋律的でない。
2重保続音......主音Ⅰと属音Ⅴを同時に保留すること。調を確固たるものにする。